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東大名誉教授 養老孟司と冒険家 C・Wニコルの対談集

医学博士・解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司氏と、作家・冒険家のC•Wニコル氏の対談集。

章ごとに以下のようなテーマで対談しており、
それぞれを聞き手の青山聖子さんがまとめています。

第1章:森と川と海のこと
第2章:食べること、住まうこと
第3章:子どもたちと教育のこと
第4章:虫のこと、動物のこと
第5章:五感のこと、意識のこと
第6章:聞くこと、話すこと
第7章:これからの日本のこと

 

以下、印象に残った言葉を。

 

養老 都会の生活は変化がないですからね。いつもエアコンで部屋の温度は同じ、風は一切来ない、明るさも一定。これじゃあ、感覚が完全に狂っちゃいますよ。

ニコル 都会の人は家畜化していると思う。

養老 都会の人は弱いですよね。

都会の罠

 

日本の昔の人も、木の使い方には知恵があって、平城京の門や建物を再建するときに昔のことを調べた人に聞いたら、柱にはヒノキとか、ちゃんと場所によって木の種類を使い分けてあったそうです。まさに、適材適所。

木を生かす適材適所

 

いまは、特に都市にいると、隣近所も知らなかったりします。

養老 だからコストがかかるんですよ。

何かあったとき、周りに助けてもらえないから、保険会社に保険料を払わなくちゃいけなくなったということです。昔は人間関係で補償していたものを、いまは全部お金に替えていっていて、それをやっているのが保険会社なんです。

人間関係を保険で補償する時代

 

養老 僕らの頃は、いじめられたって山に行ったらそれっきりでした。自然の中ではいじめは関係ないですからね。でもいまは、そういう自然との関わりを全部消しちゃっているんです。

僕がそれを強く思ったのは、『14歳の私が書いた遺書』という本を読んだときです。
24歳になった女の子が14歳のときにいじめにあって死のうと思ったときのことを書いた本なんですけど、それを読んで一番驚いたのは、花鳥風月が一言も入っていなかったことです。
「桜が咲いた」「台風が来た」というような話は一切なくて、「先生がこう言った」「お兄さんがどうした」という話ばっかり。小さいときから人間の世界に完全に巻き込まれているから、もう逃げ場がないんですよ。

自然が足りないと世界が半分になる

自分の身体で感じる、身体を使うことの重要さ

以前に養老先生の別の著書で、
”人はどんどん体から遠いところで何かをしようとしている” という言葉を見たとき、はっとしました。
 

一例として、戦争で人を殺すとき。

昔は刀や槍で攻撃していたけれど、今は飛行機から爆弾を落として、何万人を殺します。
後者の方が人が苦しんで死んでいく光景を見ずにすむため、人を殺したという実感が薄い。
体から遠いところで何かをすると、そのぶん得る実感も軽い、ということ。
 

それは現代の生活でいろいろなことに当てはまります。
便利になりすぎて、衰えていく感覚。

自分の身体で感じる、身体を使うことの重要さ。
この本の中には所々に、気付きや納得の言葉がありました。

人工物ばかりの便利で楽な生活を追い求めるのではなく、
自然や身体を意識して生活をしたいと
改めて感じさせてくれる本です。

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